事例でみる相続:被相続人が自筆の遺言書を残していたが、形式に不備があり、無効となったため相続手続きが混乱する

被相続人が自筆証書遺言を残していたものの、その形式に不備がある場合、遺言書は無効となり、法定相続が適用されることになります。遺言書が無効とされると、被相続人の意志が反映されない遺産分割が行われることになり、相続人間でのトラブルが生じやすくなります。

解決策

① 遺言書の検認

自筆証書遺言が発見された場合、家庭裁判所で遺言書の検認を行います。検認とは、遺言書の内容や形式を確認する手続きであり、遺言書が有効か無効かを判断するためのものではありませんが、これにより遺言書の存在が法的に確認されます。

手続き内容

家庭裁判所に遺言書の検認を申し立て、検認の日程を調整します。

必要な書類

遺言書

検認申立書

被相続人の戸籍謄本

相続人の戸籍謄本

書類の入手先

家庭裁判所、市区町村役場

② 遺産分割協議の実施

遺言書が無効とされた場合、相続人全員で遺産分割協議を行います。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停や審判を申し立てることができます。

手続き内容

相続人全員が参加する遺産分割協議を行い、協議内容を文書化します。協議がまとまらない場合は調停を申し立てます。

必要な書類

遺産分割協議書

調停申立書(必要に応じて)

書類の入手先

相続人自身または弁護士事務所、家庭裁判所

③ 遺言執行者の選任

遺言書に遺言執行者が指定されている場合、その人物が遺言内容の執行を担当します。指定がない場合、相続人の中から遺言執行者を選任し、家庭裁判所に選任の申し立てを行うことができます。

手続き内容

遺言執行者を選任し、家庭裁判所に申し立てます。遺言執行者が遺言内容を執行します。

必要な書類

遺言執行者選任申立書

被相続人の戸籍謄本

相続人の戸籍謄本

書類の入手先

家庭裁判所、市区町村役場

予防策

① 公正証書遺言の作成

自筆証書遺言は形式不備のリスクが高いため、公証人役場で公正証書遺言を作成することが推奨されます。公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が作成するため、形式不備のリスクがなく、確実に有効な遺言となります。

手続き内容

公証人役場で遺言書を作成し、公証人が遺言内容を確認します。作成した遺言書は公証人役場で保管されます。

必要な書類

被相続人の本人確認書類

遺言内容のメモ

書類の入手先

公証人役場

② 専門家の助言を受ける

遺言書を作成する際には、弁護士や司法書士に相談し、内容の適法性や形式について助言を受けることが重要です。これにより、形式不備のリスクを回避できます。

③ 定期的な遺言内容の見直し

遺言書は作成後も、家庭状況や財産状況の変化に応じて定期的に見直し、必要に応じて内容を更新することが大切です。これにより、遺言内容が最新の状態に保たれ、相続時のトラブルを防ぐことができます。

まとめ

被相続人が自筆証書遺言を残した場合でも、形式不備があると遺言が無効となり、相続手続きが混乱するリスクがあります。このようなトラブルを防ぐためには、公正証書遺言を作成し、専門家の助言を受けながら遺言内容を適切に管理することが重要です。相続手続きがスムーズに進むよう、事前の準備と適切な対応が求められます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました