事例でみる相続:相続財産の共有持分を巡って意見が対立し、遺産分割協議が進まない場合

被相続人が所有していた自宅の共有持分が相続財産に含まれている場合、相続人間でその持分の扱いについて意見が対立することがあります。共有持分を巡る意見の相違は、遺産分割協議が滞る原因となり、相続手続き全体に影響を及ぼします。

解決策

① 家庭裁判所での調停

遺産分割協議が相続人間で合意に至らない場合、家庭裁判所での調停を申し立てることで、第三者の仲介を得ながら協議を進めることができます。調停委員の助けを借りて、相続人間の意見を調整し、合意に導くことが可能です。

手続き内容

家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、調停委員の仲介のもとで協議を進めます。

必要な書類

調停申立書

被相続人の戸籍謄本

相続人全員の戸籍謄本

被相続人の財産目録

書類の入手先

家庭裁判所、市区町村役場

② 売却による換価分割

共有持分を巡る意見の対立が解消しない場合、自宅を売却して得た金銭を相続人間で分割する方法(換価分割)があります。売却による金銭分割は、物理的な共有状態を解消し、相続人全員が公平に分配を受けられる方法です。

手続き内容

自宅を不動産業者に売却し、売却金を相続人間で分割します。

必要な書類

不動産売買契約書

相続人全員の同意書

不動産登記簿謄本

書類の入手先

不動産業者、法務局

③ 遺産分割協議書の作成

遺産分割協議がまとまった場合、協議内容を遺産分割協議書に記載し、相続人全員が署名押印することで、合意内容を法的に証明します。この協議書を基に、相続手続きを進めることができます。

手続き内容

相続人間で協議を行い、遺産分割協議書を作成します。

必要な書類

遺産分割協議書

相続人全員の印鑑証明書

書類の入手先

市区町村役場

予防策

① 生前贈与や遺言書の作成

被相続人が生前に自宅の持分を特定の相続人に贈与するか、遺言書を作成して持分の分割方法を明確にしておくことで、相続時の対立を防ぐことができます。遺言書には、持分の詳細と受贈者を記載します。

手続き内容

生前贈与契約を締結し、遺言書を作成します。

必要な書類

生前贈与契約書

遺言書(公正証書遺言の場合、公証人役場で作成)

贈与者および受贈者の本人確認書類

書類の入手先

公証人役場、市区町村役場

② 定期的な家族間の話し合い

家族間で定期的に財産について話し合い、相続に関する意向を共有しておくことで、相続時の意見対立を未然に防ぐことができます。特に、共有持分の扱いについて明確な意向を示しておくことが重要です。

③ 共有物分割請求権の理解

相続人が共有持分を持つ場合、共有物分割請求権を理解しておくことが重要です。この権利を行使することで、相続人は共有状態を解消し、個別に持分を確定することができます。

まとめ

相続財産に自宅の共有持分が含まれている場合、相続人間で意見が対立すると、遺産分割協議が滞る可能性があります。家庭裁判所での調停や売却による換価分割を通じて問題を解決することができます。生前贈与や遺言書の作成など、事前に対策を講じておくことで、相続時の混乱を防ぐことが可能です。専門家の助言を受けながら、適切な予防策を講じることで、円滑な相続手続きを進めることができます。

 

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