遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。しかし、相続人間で意見の対立や感情的な衝突が生じると、協議が長引き、合意に至らないケースがあります。このような場合、遺産分割が進まず、相続手続きが滞ることがあります。
解決策
① 家庭裁判所の調停申立て
相続人間で合意に至らない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、第三者の調停委員を交えて話し合いを進める方法があります。調停が成立すれば、遺産分割協議書を作成して手続きを進めます。
手続き内容:家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。
必要な書類:
遺産分割調停申立書
被相続人の戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本
相続財産の一覧表
書類の入手先:家庭裁判所、被相続人と相続人の本籍地の市区町村役場
② 遺産分割審判の申立て
調停が不成立となった場合、家庭裁判所に遺産分割審判を申し立て、裁判所の判断により遺産分割を進めることができます。審判で決定された内容に基づいて、遺産分割協議書を作成し、相続手続きを完了させます。
手続き内容
家庭裁判所に遺産分割審判を申し立てます。
必要な書類
遺産分割審判申立書
調停不成立証明書(調停が不成立の場合)
被相続人の戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本
相続財産の一覧表
書類の入手先
家庭裁判所、被相続人と相続人の本籍地の市区町村役場
予防策
① 遺言書の作成
被相続人が生前に遺言書を作成しておくことで、相続人間での意見の対立を防ぐことができます。遺言書には、財産の分配方法を具体的に記載し、遺言者の意向を明確に示します。
手続き内容
遺言書を作成し、必要に応じて公正証書遺言とすることで、法的な効力を強化します。
必要な書類
遺言書(公正証書遺言の場合、公証人役場で作成)
遺言者の本人確認書類
書類の入手先
公証人役場
② 事前の家族会議
生前に家族会議を開き、相続について話し合っておくことで、相続時のトラブルを未然に防ぐことができます。被相続人の希望や財産の現状を共有し、家族全員の理解を深めることが重要です。
③ 中立的な第三者の活用
相続手続きにおいては、弁護士や司法書士などの専門家を活用し、中立的な立場からアドバイスを受けることで、相続人間の対立を緩和し、スムーズな手続きを進めることができます。
まとめ
相続人間で遺産分割協議が難航し、合意に至らない場合、家庭裁判所の調停や審判を利用することで問題を解決することができます。事前に遺言書を作成し、家族間で相続について話し合っておくことで、相続時のトラブルを予防することが可能です。弁護士や司法書士といった専門家の力を借りて、公平な相続手続きを進めることも有効な手段です。
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