遺言書の有無や内容に関する争い:相続手続きにおける財産調査のトラブル事例2

具体的な事例

被相続人が亡くなり、遺族が財産を相続する際に、複数の遺言書が発見されました。1つは手書きの遺言書(自筆証書遺言)、もう1つは公正証書遺言でした。どちらも有効性に疑いがあり、一部の相続人が遺言書の無効を主張して争いに発展しました。最終的に裁判に至り、手続きが長期化した結果、財産の分配が遅れました。

解決策

1.遺言書の検認

家庭裁判所に遺言書の検認を申立て、有効性を確認します(※公正証書遺言の場合は検認不要)。

2.専門家の介入

弁護士や司法書士に相談し、遺言書の内容が法的に有効かどうか、また遺留分の侵害がないかを確認します。

3.家庭裁判所での調停または裁判

相続人間での合意が得られない場合、家庭裁判所で遺産分割調停を行い、それでも解決しない場合は裁判で決着をつけます。

予防策

1.公正証書遺言の作成

公証人の立ち合いのもと、遺言書を作成することで、内容の有効性や証拠能力が高まります。

2.専門家の確認を受ける

遺言書を作成する際は、弁護士や司法書士に内容を確認してもらい、法律上の問題を未然に防ぎます。

3.遺言書の保管方法を明確にする

遺言書の保管先を家族に伝えるか、公正証書遺言を作成した場合は公証役場に保管を依頼します。2020年以降は「法務局の遺言書保管制度」を利用することも可能です。

4.定期的な見直し

財産や家族構成が変わった場合、遺言書を適宜見直し、最新の状態を保つようにします。

必要な手続きと書類

1.遺言書の検認申立て

手続き: 家庭裁判所に遺言書の検認を申立てる。

書類: 検認申立書、遺言書、被相続人の戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、住民票

入手先: 市区町村役場(戸籍謄本、住民票)、家庭裁判所(申立書)

2.公正証書遺言の取得

手続き: 公証役場で遺言書の内容を確認。

書類: 被相続人の死亡診断書、相続人の身分証明書

入手先: 公証役場

3.遺産分割調停申立て

手続き: 家庭裁判所に調停を申し立てる。

書類: 調停申立書、遺言書、被相続人および相続人の戸籍謄本、財産目録

入手先: 家庭裁判所、市区町村役場

4.法務局の遺言書保管制度の利用

手続き: 遺言書を法務局に預ける。

書類: 遺言書保管申請書、身分証明書

入手先: 法務局

よくある質問10件

1.自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは何ですか?

自筆証書遺言は自分で手書きして作成するもので、公正証書遺言は公証人の立ち合いで作成されます。公正証書遺言は法的に有効性が高く、検認手続きが不要です。

2.検認とは何ですか?

検認は、家庭裁判所が遺言書の存在や内容を確認し、遺言書の改ざんや隠匿を防ぐための手続きです。遺言書の有効性そのものを確認するものではありません。

3.複数の遺言書がある場合、どれが有効ですか?

最も新しい日付の遺言書が有効です。ただし、形式不備がある場合や内容が矛盾する場合は裁判で争われる可能性があります。

4.遺言書が見つからない場合、どうすればいいですか?

被相続人の家や金庫、法務局、公証役場を確認してください。2020年以降は法務局の遺言書保管制度を利用している可能性もあります。

5.遺言書が無効になるケースはありますか?

日付がない場合や署名・押印がない場合、被相続人が作成当時に判断能力を欠いていた場合などは無効となる可能性があります。

6.遺言書に従わない遺産分割は可能ですか?

全相続人が同意すれば、遺言書と異なる分割方法を取ることが可能です。

7.遺言書があっても遺留分は守られますか?

遺言書の内容に関係なく、相続人には遺留分を請求する権利があります。

8.公正証書遺言を作成する費用はいくらですか?

財産の総額に応じて異なりますが、一般的に数万円から数十万円程度かかります。

9.検認はどれくらいの時間がかかりますか?

検認手続き自体は通常1~2か月程度で完了しますが、場合によっては遺族間の争いでさらに時間がかかることもあります。

10.家庭裁判所での調停が不成立になった場合、どうなりますか?

調停が不成立の場合、裁判に移行して最終的な判断を裁判官に委ねることになります。

まとめ

遺言書の有無や内容に関する争いは、相続手続きの長期化や家族関係の悪化につながるリスクがあります。事前に公正証書遺言を作成し、専門家のアドバイスを受けながら適切な手続きを進めることが、トラブルを未然に防ぐ鍵となります。

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