相続額が増えるかも?寄与分とは?相続トラブルを防ぐための計算方法と必要書類

寄与分とは?その定義から計算方法、手続きまでを詳しく解説

相続の場面で「寄与分」は、特定の相続人が被相続人に対して特別な貢献をした場合に、その相続人に対して相続財産の分配において優遇される制度です。寄与分を正しく理解することで、公平な相続を実現することができます。本記事では、寄与分の定義、具体的な計算方法、手続きについて詳しく解説します。

1. 寄与分とは?

寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人に対して、他の相続人と比べて多くの相続財産を受け取ることを認める制度です。これにより、被相続人に対する貢献が相続分に反映され、公平な遺産分割が行われます。

寄与分が認められる例:

被相続人の事業の運営や財産の管理に貢献した場合

被相続人の介護や看護を長期間行った場合

被相続人の財産形成に資金援助を行った場合

2. 寄与分が認められるためには

寄与分が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。

1. 相続人であること: 寄与分は法定相続人にのみ認められます。

2. 特別な貢献: 事業の手助け・介護・資金援助など、被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をしたこと。

3. 因果関係: 相続人の貢献と被相続人の財産の維持・増加との間に因果関係があること。

3. 寄与分の計算方法

寄与分は具体的な金額で計算され、遺産分割において調整されます。計算のステップは以下のとおりです。

ステップ1: 被相続人の遺産総額を確定

被相続人の遺産総額を把握します。遺産には不動産、預貯金、有価証券などが含まれます。

ステップ2: 寄与分の額を決定

寄与分の額は、被相続人の財産の増加や維持に対する相続人の貢献度を金銭的に評価して決定します。具体的な額は当事者間の協議や調停で決定します。

ステップ3: 相続分の計算

寄与分を遺産総額から差し引いた残額を基に、法定相続分を算出します。

寄与分が認められた相続人は、寄与分に基づく額を受け取り、残りの遺産は他の相続人に分配されます。

4. 寄与分の具体例

例:

被相続人Aさんが死亡し、遺産総額は6,000万円です。相続人は長男Bさんと次男Cさん。長男Bさんは生前にAさんの事業を支え、財産の増加に大きく貢献していました。寄与分として1,500万円が認められました。

1. 遺産総額: 6,000万円

2. 寄与分: 長男Bさんに1,500万円

3. 法定相続分の算出:

遺産総額 – 寄与分 = 6,000万円 – 1,500万円 = 4,500万円

法定相続分: 長男Bさんと次男Cさんが各1/2ずつ = 4,500万円 × 1/2 = 2,250万円ずつ

4. 具体的な相続分:

長男Bさんの受取分 = 2,250万円 + 1,500万円(寄与分) = 3,750万円

次男Cさんの受取分 = 2,250万円

5. 寄与分の手続き方法

寄与分を認めてもらうための手続きは以下の通りです。

ステップ1: 寄与分を主張

相続人間で寄与分を主張し、貢献の内容や程度を説明します。

ステップ2: 寄与分に関する協議

相続人間で寄与分について協議し、合意に至ることを目指します。

ステップ3: 家庭裁判所での調停

協議が不成立の場合、家庭裁判所に寄与分に関する調停を申立てます。

ステップ4: 審判

調停でも合意に至らなければ、審判によって寄与分が決定されます。

6. 作成が必要な書類

寄与分を認めてもらうためには、以下の書類を準備する必要があります。

寄与分に関する証拠書類

寄与の事実を証明する書類: 被相続人の事業に関与した記録、介護の記録、資金援助の証拠など。

相続財産目録

被相続人の全財産をリスト化した目録。寄与分が認められる財産も含めます。

7. 寄与分に関する注意点

証拠の準備

寄与分を主張する場合、貢献の内容を証明するための証拠をしっかりと準備する必要があります。

争いのリスク

寄与分の認定や額について相続人間で争いが生じることがあり、調停や審判に進む可能性があります。

時効

寄与分の主張には時効がないため、相続開始後も主張することができます。

まとめ

寄与分は、相続人間の公平を図るための重要な制度です。寄与分を正確に計算し、必要な手続きを適切に進めることで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。相続に関して不明点がある場合や寄与分を主張したい場合は、専門家への相談をお勧めします。

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