相続のキホン!遺留分と遺留分侵害額請求を完全解説

遺留分と遺留分侵害額請求:その定義と手続き方法を詳しく解説

相続において、遺留分や遺留分侵害額請求は重要な概念です。これらの権利は、相続人が最低限保障される財産の取り分を確保するために設けられています。本記事では、遺留分と遺留分侵害額請求について、その定義から具体的な手続き方法までを詳しく解説します。

1. 遺留分とは?

遺留分とは、一定の法定相続人に対して、法律によって保障された最低限の相続財産の取り分を指します。被相続人が遺言で財産のすべてを第三者に譲渡することを指定した場合でも、法定相続人はこの遺留分を請求する権利を持っています。

遺留分が認められる相続人

配偶者

子供(直系卑属)

父母(直系尊属)

遺留分の割合

配偶者や子供がいる場合、遺留分は法定相続分の1/2。

父母のみが相続人の場合、遺留分は法定相続分の1/3。

2. 遺留分侵害額請求とは?

遺留分侵害額請求とは、遺留分が侵害された場合に、侵害した相手に対してその不足額の支払いを求める手続きです。従来の遺留分減殺請求に代わり、2019年の法改正によって導入されました。この請求により、遺留分が侵害された相続人は金銭でその侵害額を回復することができます。

3. 遺留分侵害額請求の手続き方法

遺留分侵害額請求の手続きには、以下のステップがあります。

ステップ1: 遺留分の計算

遺留分の計算は、被相続人の相続開始時点の財産総額から、相続人の取り分を計算し、遺留分に相当する額を導き出します。

ステップ2: 請求先の特定

遺留分を侵害しているのが誰であるかを特定します。通常は、被相続人から財産を多く受け取った相続人や第三者になります。

ステップ3: 請求書の送付

遺留分侵害額請求の意思を内容証明郵便で請求先に送付します。内容証明郵便にするのは、裁判になったときのために内容と配達日を証拠として残すためです。この段階で、侵害された遺留分の額を明確に記載します。

ステップ4: 協議

まずは、当事者間で協議を行い、遺留分侵害額の支払いについて合意を目指します。

ステップ5: 家庭裁判所での調停または訴訟

協議が不成立の場合、家庭裁判所に調停を申立てます。調停でも合意に至らなければ、訴訟に進みます。

4. 遺留分侵害額請求の期限

遺留分侵害額請求には期限があります。以下の期間内に請求しなければ権利が消滅します。

被相続人の死亡から1年以内に請求を行う必要があります。

また、相続開始後、10年が経過すると、遺留分侵害額請求の権利が消滅します。

5. 遺留分侵害額請求の注意点

金銭請求に限定: 遺留分侵害額請求は、金銭での請求に限定されており、物件そのものの返還は求められません。

証拠の準備: 被相続人の財産や、遺言内容、遺留分侵害を証明するための資料や証拠をしっかりと準備する必要があります。

6. 事例を通じて理解する遺留分侵害額請求

事例:

被相続人Aさんが、全財産を長男Bさんに譲るとする遺言を残して死亡しました。次男Cさんは遺留分を侵害されたと感じ、遺留分侵害額請求を行いました。

解決の流れ:

1. Cさんは弁護士に相談し、遺留分の額を計算。

2. 内容証明郵便でBさんに遺留分侵害額請求を行い、協議を開始。

3. 協議が不成立となり、家庭裁判所に調停を申立て、調停が成立し、金銭の支払いで解決。

7. 遺留分侵害を防ぐための対策

遺言書の作成: 遺留分を考慮した内容の遺言書を作成することで、相続人間の争いを未然に防ぐことができます。

相続人との事前協議: 被相続人は生前に相続人と話し合いを持ち、遺産分割の希望や意図を伝えることで、理解を得る努力をすることが重要です。

まとめ

遺留分と遺留分侵害額請求は、法定相続人が最低限の相続財産を確保するための重要な権利です。相続トラブルを避けるためには、事前の準備や専門家への相談が不可欠です。家族の平和を守るためにも、適切な対応と予防策を講じることが大切です。

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