事例でみる:被相続人の借金が発覚し、遺産総額がマイナスになった場合

相続手続きを進める中で、被相続人に多額の借金があることが判明し、遺産総額がマイナスになるケースがあります。このような場合、相続人が借金を引き継ぐことを避けるための適切な対応が求められます。

解決策

① 相続放棄の申立て

相続人が被相続人の遺産を一切受け取らないことを希望する場合、家庭裁判所に相続放棄の申立てを行います。相続放棄をすると、借金も含めたすべての相続財産を放棄することになります。

手続き内容

相続放棄の申立てを家庭裁判所に行い、相続人としての権利を放棄します。

必要な書類

相続放棄申述書

被相続人の戸籍謄本

相続人の戸籍謄本

被相続人の財産状況に関する資料(借金があることを示すもの)

書類の入手先

家庭裁判所、被相続人と相続人の本籍地の市区町村役場

② 限定承認の申立て

遺産の中にプラスの財産とマイナスの財産がある場合、限定承認を行うことで、相続人が受け取る財産の範囲内でのみ借金を返済することができます。この手続きを行うことで、相続人はマイナスの財産を超えて負債を負担することがなくなります。

手続き内容

相続人全員で家庭裁判所に限定承認の申立てを行います。

必要な書類

限定承認申述書

被相続人の戸籍謄本

相続人の戸籍謄本

被相続人の財産目録

書類の入手先

家庭裁判所、被相続人と相続人の本籍地の市区町村役場

予防策

① 被相続人の財産状況の事前確認

被相続人の財産状況を生前から把握しておくことで、相続時に突然の借金発覚を防ぐことができます。特に、高齢者や病気を抱えている家族の財産状況については、定期的に確認し、家族間で情報を共有しておくことが重要です。

② 遺言書の作成と財産管理

被相続人が生前に遺言書を作成し、財産状況を明確に記載しておくことで、相続人が遺産総額を正確に把握できます。また、財産管理を適切に行うことで、借金の増加を防ぐことができます。

手続き内容

遺言書を作成し、財産管理について専門家の助言を受けることを推奨します。

必要な書類

遺言書(公正証書遺言の場合、公証人役場で作成)

遺言者の本人確認書類

書類の入手先

公証人役場

③ 専門家の助言を受ける

弁護士や税理士、司法書士などの専門家の助言を受けることで、被相続人の財産状況を正確に把握し、適切な相続対策を講じることができます。特に、借金が疑われる場合は、専門家による財産調査が有効です。

まとめ

被相続人に多額の借金があることが判明した場合、相続放棄や限定承認といった法的手続きを通じて、相続人が借金を負担しないようにすることが重要です。事前に被相続人の財産状況を把握し、適切な相続対策を講じることで、相続時のトラブルを予防することができます。専門家の助言を受けながら、手続きを進めることで、相続手続きの円滑な遂行が可能です。

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